フリーランス管理栄養士に聞いた!独立するために必要なことって?

大学や専門学校を卒業し、社会に出て管理栄養士として働いている方であれば、おそらく誰もが一度は「フリーランス」という選択を考えたことがあるのではないでしょうか。

管理栄養士の主な勤務先は、次のような場所があります。

・保育園・幼稚園など教育施設
・給食会社
・病院・クリニック
・介護施設
・食品関連企業・ダイエット会社
・大学・研究施設

食品メーカーから福祉施設など、「食・栄養のスペシャリスト」として人々の健康寄与に関わる管理栄養士の活躍場所は、様々。
近年ではスマホを通じて食事指導を行う仕事もあり、場所を選ばずに働くことも可能となっています。

今回は、フリーランス管理栄養士として、大量調理、栄養指導、商品開発等、様々な経験をお持ちの成島真理さんに、直撃取材。
彼女はどうやってフリーランスとして独立できたのでしょう?その秘訣を探ってきました!

やりたいことを模索した結果、独立にたどり着いた

―フリーランスとして独立しようと思ったのはなぜですか?

成島さん:
「私の場合、学生の頃から“独立したい”と思っていたわけではなく、社会人として働いているときに“誰かのためにもっと一般の人に栄養の知識広めたい”と思ったのが独立のきっかけでした。実は学生時代は料理に対する苦手意識があり、克服するためにも現場経験を積める給食会社を選びました。その後に病院、特別養護老人施設と、いろんな場所で働いてきましたが、特定の場所で働き続けていることを「窮屈だな」「社会人としてこのまま年数を重ねていいのだろうか」と、漠然とした不安を感じるようになったんです。
独立の最大の決め手は、管理栄養士以外の業務に触れたことが大きかったかもしれません。

―管理栄養士業務以外だと、何をされていたんですか?

成島さん:
「社内研修の整備です。厳密には、管理栄養士業務と並行していましたが。
20代後半の転職活動時に、管理栄養士以外の興味が持てそうな分野を片っ端から受けていたんです。偶然見つけたフィットネスクラブ営業企画の募集に応募したら、面接官が栄養士だったんです。

私の経験を聞いた面接官から「本来募集はしていないんだけど、別の部署で管理栄養士として働いてみませんか?」とお話をもらったんです。
まずは研修期間にトレーニングのサポートなど、いわゆる店舗業務を行いました。しばらくして本部勤務になり、人事部の教務課に配属されました。
人事部として新入社員研修や昇級研修など人材育成に関わる研修を担当していましたが、
別途社内向けに栄養や運動に関する研修担当も任されました。

当時、栄養はもちろんですが、運動は特に知識がほとんどなかったので、情報収集に一苦労でした(苦笑)。
ただ、その経験によって自身で学習することの楽しさを知り、学習意欲も高まった気がします。自分でも気づかなかった、意外な一面でした。

―管理栄養士でもあり、組織内外の人事にも携わるハイブリッドな社員ですね!

成島さん:
はたからみると、そうかもしれませんね(笑)。
ただ、管理栄養士よりも、メインは人事部・教務課としての動きがメインになっていました。多少の違和感はありましたが、転職のきっかけに「管理栄養士以外の仕事も経験したい」と思っていましたし、「お客様や会社のためになるなら」と思って取り組んでいました。

何より、私を信頼して入社して間もないうちに様々な研修を任せてもらえたことで「まず、やってみる」という気概が身についた気がします。
今思い返すと、求められているレベルには到底及ばなかったと思いますが、自分の中で「できない…」と必要以上にハードルを上げていたんです。

この頃から「やってみたらできないこともないし、不安に駆られて行動しないのはもったいない」と思えるようになり、この経験は私にとって大変学びが多かったです。
ただ、人材育成の仕事がメインになってしまうと、管理栄養士系の業務や新たな取り組みは、どうしても「片手間」「時間が空いたら」と、後倒しになってしまうことが増えて。 

今思えば、私の時間の使い方が下手でしたね。
仕事も気持ちも、もう少し柔軟にできたらよかったなと。
とはいえ、当時は目の前の仕事に追われていたので余裕を持てず、アイデアを実行に移せないことに歯痒い思いをしたことが何度もありました。

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―そこで独立への想いが強まったと?

成島さん:
そうですね、それもあります。会社はすごく好きで、予定になかった採用で受け入れてもらった恩もありましたが、もっと管理栄養士の業務に携わりたい、もっと世の中に貢献できることがあるのではないかと考えた結果、辞めることを決意しました。

ただ、これはすごくわがままなのですが、今の会社と縁を切りたいわけではなくて、というか短期間で辞めてしまう後ろめたさもあって。私が管理栄養士としてもっとスキルアップしたら、いつかまたお仕事をご一緒できればとも思いました。そうなると「転職」という選択肢は自ずと消え、「フリーランス」一択になりました。

これまで全く考えたこともなかった「フリーランス」。自由度は高いかもしれませんが、会社員のような固定給ではない分、リスクもあります。そこで私は、フリーランスになるための「条件」を設定しました。

フリーランスになるための条件

―どんな条件付けをしていたんですか?

成島さん:

「管理栄養士としてスキルアップできる環境を選ぶこと」です。
そんなの当たり前…と思うかもしれませんが、自由度が高いと、報酬額だけで選んでしまったり、楽な仕事を選ぶ可能性があったからです。

私が当時、管理栄養士としてできたことは、「献立作成」と「大量調理」。そして「簡単な栄養アドバイス」程度だったので、まずは経験を積みたいと考えました。

浅はかかもしれませんが、年齢的にも環境的にも仮に1年間フリーターになったとしても、いくらでもやり直せると感じていました。それならば、最低1つはスキルアップできる仕事をするという条件を自分の中で決めてました。そこで見つけたのが、管理栄養士としてダイエット指導をする仕事です。

具体的には、企業が持っている専用のカウンセリングブースで、ダイエット中のお客様1人1人に食事アドバイスをすることでした。私のアドバイスや直接お客様の意識や行動・結果につながるので、自分の頑張り次第でリピーターが増える仕組みでした。

ダイエット指導で気づいた、今後の課題

ダイエット指導の経験から学んだことは、「関心期」での介入がすごく重要であるということです。
人が行動を変える場合は「無関心期」→「関心期」→「準備期」→「実行期」→「維持期」の5つのステージを通ると考えられています。
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(出典:行動変容段階モデル

この行動変容段階モデルを例に挙げると、フィットネスクラブのお客様もダイエット指導を受けるお客様も、「準備期」と「実行期」を繰り返している方が多かったんです。

しかし、よくよく話を聞いてみると、課題の認識から見直す必要がある方もいらっしゃったので、新たに課題を設定し、関心期に立ち戻っていただいてアドバイスしたこともありました。

「関心期」での介入の大切さに気付いたことで、今後のビジョンのヒントを得ることもできました。

-環境選びのほかに、気を付けていたことはありますか?

成島さん:
「分からないことをそのままにしない」ということでしょうか。
忙しくなると悩みや疑問をそのまま放置しがちです。
しかし、見直しや修正は自分1人で舵取りをして進めなければいけません。
記憶には限界がありますので、とにかくなんでもメモに残すように癖をつけていました。
あとはタスクを細分化して数分、数十分でできるように「短時間で実施可能なタスク」に変換して管理することは、現在でもモチベーションの維持や効率化に役立っています。

また、調べても分からないことは直接会って尋ねるように心がけました。
今でも印象に残っているのは、ツイッターでフリーランスをしている管理栄養士の方にメッセージを送って、実際にお会いできたことです。

女性が多い業界ですが、私が連絡した方は男性の管理栄養士で、彼がフリーランスとしての活動をブログで発信していたのを見て、実際に話を聞いてみたいなと思ったんです。

「一度お会いして話を聞かせてください」と伝えると、快く快諾してくださって。
フリーランスとしての苦労もありながら、働き方の選択肢が幅広いことにワクワクしたのを覚えています。忙しい中、時間を割いてお話してくださったと思うので、とても有難かったです。しかも、その出会いがきっかけとなって、後にお仕事をご紹介頂いたりと、本当にお世話になりました。

―この出会いが、フリーランスとしての可能性をさらに広げた感じですね!

成島さん:
そうですね。紹介していただいた仕事の1つに、ヘルスケアのベンチャー企業がありました。
「AIを使った食事指導」のお仕事だったのですが、当時はその事業の「アドバイザー」として携わらせていただきました。

その後、オリンピック選手の食事指導にも携わる等、貴重な機会を得ることができました。現在も、業務委託で関わらせて頂いています。

フリーランスになってみて早々に「1人でできること・やれることに限界がある」と感じていました。
そんなタイミングでアドバイザーとしてヘルスケア事業に関わったことで、
「志を同じくする者があつまって、ゴールを目指して進むことの力強さと影響力の強さ」を改めて感じ、楽しむことができました。

フリーランス特有の「孤独感」も、この出会いがあったことで、さほど感じずにやってこれた気がします。
また、「最低1つは管理栄養士としてスキルアップできる仕事をする」という条件でフリーランスになりましたが、結果的に「管理栄養士」以外の仕事、いわゆる生活費を稼ぐためだけの仕事はせずに今日までくることができました。

それは、仕事を通じて知り合った方から新たな人・仕事へつなげてもらったおかげで、本当に有り難いですし、早く恩返ししなければと仕事のモチベーションにもなっています。

不安があっても、行動を止めないこと

成島さん:
フリーランスになってもうすぐ5年経ちますが、本当に独立してよかったなと思います。
私はもともと頭でっかちな性格で、「危ないからやめておこう」と、石橋叩いても結局渡らないようなタイプだったんですよ。

―え?!全く見えませんね…。

成島さん:
今も叩いてるんですけどね。いつも不安と隣り合わせですから。
ただ、慎重になりすぎて何もできないことってフリーランスにとっては致命的です。

「後悔しないように選択する」
「後悔しないように行動する」

この2つはもともと自分の中のルールなのですが、フリーランスになって以降は特に意識していました。
自分で選択して、自分で行動していたら後悔はないですし、自分以外の何かのせいにすることもないですからね。

「石橋をがんがん叩いても渡らなかった」のがフリーランスになる前の自分。
今は、「壊れなかったらとりあえず渡ってみる!」といったところでしょうか。
どちらにせよ「がんがん叩く」のは変わっていませんね(笑)。

また、慎重さもポジティブに捉えれば「リスクヘッジを図れる」ことだと思うので、色んなパターンを想定するようになりました。
日頃から「最悪のパターン」を考えておくと、心の準備ができるんですよね。

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成島さんが目指す「フリーランス 管理栄養士」とは

成島さん:
自分が元陸上部だったこともあり、陸上選手の、欲を言えば自分がやっていた中距離選手のサポートに関わりたいです。
現在はマラソンランナーの方が多いのですが、当日のコンディションや環境に大きく作用されるのでランナーの方も食事の重要性を感じつつも後回しになりがちというか…。
恥ずかしながら、私は学生時代に貧血で思うように走れなかった時期がありました。そのときの不甲斐なさや悔しさを選手の皆さんには感じてほしくないと思っています。

また、「食の花嫁修業」というプログラムも実践したいです。

―「食の花嫁修業」って、新しい響きですね!

成島さん:
ありがとうございます。今でこそ男性も料理する時代なので、厳密には「花嫁=女性」と、性別で分ける必要はないと思っています。
ただ、そうは言っても、結婚後に妊娠・出産を考えるのであれば、まずは女性自身が自分の体を大切にするために行動して欲しいと考えています。

女性の体については、女性自身が一番の理解者です。
例えば、これから結婚式を迎えるプレ花嫁さんの健康美を支えるサービスや、新婚の奥さんや産褥期のお母さんの食生活をサポートするなど、女性の健康をきっかけに家族の健康に貢献できるように取り組みたいです。

成島さんのお話を聞いて、フリーランスになるためには次のようなポイントがあることが浮かび上がりました。

・自分を律するための条件やルールを設ける
(タスク管理の徹底、迅速なレスポンスを心がける等)
・人とのつながりを大切にする
・後悔はもったいない!フットワークを軽くする

初めから「独立したい!」という高い志があったわけではなかった成島さんは、社会人として働きながら、自分の進むべき道を見出しました。
取材中も「フリーランスになって本当に良かった」と嬉しそうに語ってくれた成島さんですが、「”フリーランスって、自由そうだからやってみたい”という考えは危険。」”とも言及しました。

フリーランスになれば「自由」と引き換えに、会社員時代にやらなくてよかった経理や労務管理なども、すべて自分1人でこなさなければなりません。
また、「体調が悪いから有給で休む」というお休みもサポートもありません。

独立を成功に導くためにも、タスクの細分化を怠らないこと。
そして自分の実力や業界の動向も常に把握しておくことが重要です。

「何故フリーランスになりたいのか。」

理由をしっかり考えて、「会社員では実現できない」と判断したのであれば、その先は後悔しないように行動するのみではないでしょうか。


【取材協力】

管理栄養士 成島真理
学校や病院で講師、管理栄養士業を行う傍ら、女性の健康美を支える管理栄養士として、
ダイエットを中心とした食事指導や、メニュー監修、コラム作成、セミナー講師等、活躍の幅を広げている。
学生時代は陸上部に所属していたこともあり、ランナー向けの栄養指導も得意分野。

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―――フリーランス管理栄養士としての実績


2018年9月~11月
株式会社ボディーズ主催「bodies running club(ボディーズランニングクラブ)」。
ランナーの方向けに、疲労回復・美肌・スタミナ・免疫力UPをテーマにドリンク・軽食の提供と栄養講座を実施。


2018年6月
マラソン大会(東京ガールズマラソン)完走パーティーでの800名分の軽食を提供しました!


2019年2月
「新商品BASE BREAD®︎記者発表会」にて、現代人の栄養課題と栄養価からみるBASE BREAD(ベースブレッド)の魅力に語りました。

管理栄養士の鈴木です。 食生活、健康法、ダイエットなど、健やかな心身をつくるための お役立ち情報をお届けします。”You are what you eat !”