徹底調査!乳児は絶対NGな「ボツリヌス菌」。ハチミツ以外の危険食品の真偽とは?!

 

こんにちは、日々育児に奮闘中のまゆりです。

先日とても悲しいニュースがありました。

東京新聞:1歳未満に蜂蜜与えないで 乳児ボツリヌス症で6カ月男児死亡:暮らし(TOKYO Web)

「ハチミツは1歳未満の赤ちゃんには与えてはいけない」
あたかも常識のように言わていますが、たまたまこの情報に触れずに母になり、子育てをしているママもいるということです。
このような事故があってから周知されるのは悲しいことですが、少しでも正しい知識が広まってほしいですよね。

そう思っていた矢先、ネットで見かけた様々な情報。

「実はハチミツだけはなく、黒糖も危ない」
「野菜スープや井戸水が原因とされたケースもある」

「え?え?!ハチミツだけじゃないの?どういうこと?!」と困惑した私。
私と同様、困惑したママも多いのではないでしょうか。
赤ちゃんの生死にかかわるので、しっかり調べておきたい。

そこで、今回はボツリヌス菌の正体と、含まれる可能性がある食材について徹底調査しました。

ボツリヌス菌とは?

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ボツリヌス菌は土や水の中に存在する菌で、密閉された低酸素な環境で発芽・増殖が起こり、毒素が発生します。
その毒素は、自然界の毒素の中でも最強クラスのものにあたります。
多くの菌は熱に弱いものですが、このボツリヌス菌の芽胞と言われる菌の種のようなものは熱に強く、120度で4分以上の加熱をしないと死滅しません。

これだけを見ると、赤ちゃんに限らず、大人にとっても怖い菌のように思えますが、なぜ赤ちゃんに対して注意が必要なのでしょうか?
次の項目でご説明します。

乳児ボツリヌス症とは?

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乳児ボツリヌス症とは、ボツリヌス菌の芽胞が赤ちゃんの体内に入り、体内で発芽・増殖し、毒素が発生することで起こる症状です。

通常の大人の場合は、食べ物にボツリヌス菌の芽胞が含まれていても腸内細菌が働いて芽胞を退治してくれます。
しかし、赤ちゃんの場合は消化器官が未熟で腸内環境が整っていないため、退治することができません。
1歳を過ぎると腸内細菌が増えてくるため、大人と同じように芽胞を退治することができるようになります。

つまり 「1歳未満の赤ちゃんは、ボツリヌス菌の芽胞が体内に入らないようにすること」が大事なのです。

原因となりうる食材は?ハチミツ以外も危険なの?

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土や水の中に存在し、加熱では死滅しないボツリヌス菌の芽胞。
ということは、「自然界のものであればほとんど含まれる可能性がある」ということです!なんてこった…!
それゆえ、様々な食材が原因になりうると言われているのです。

ただ、その中でも「乳児ボツリヌス症の原因」として挙げられている食材は、
ボツリヌス菌の芽胞が含まれている可能性が高い食材であり、それ相応の根拠があるはず。
その根拠についても調べました。

ハチミツが危険と言われている理由

ハチミツは、自然界で蜂が集めてきた蜜で作られるため、土や水の中にいるボツリヌス菌の芽胞が含まれている可能性が大いにあります。
2003年に食品安全委員会が行った調査ではハチミツの陽性反応は6.7%(以下の表参照)

ボツリヌス菌食品汚染実態
(出典:食品安全委員会

その他の魚介類でも検出されているものの、ボツリヌス菌の芽胞で特に熱に強い型であるA,B,F型を多く含んでいるのはハチミツだけのようです。(芽胞の型別耐熱性は以下の表参照)

ボツリヌス菌の概要
(出典:食品安全委員会

そのため、調理されずに与えられる可能性の高いハチミツが特に注意喚起されているようです。

黒糖が危険と言われている理由

おそらく黒糖も精製過程においての加熱処理が、120度で4分以上はされないだろうと思ったのですが、
いろいろ調べてみても根拠を見つけることができなかったため、直接「黒砂糖工業会」に問い合わせてみました。

黒糖にボツリヌス菌が含まれる危険性があると言われているのですが、やはり120度での加熱処理は行っていないのでしょうか?
自然食品・健康食品として多くの皆様から信頼を頂いております沖縄黒糖は その原料となるさとうきび栽培から黒糖の製造に至るまで、それぞれ八つの島(伊平屋島、伊江島、粟国島、多良間島、小浜島、西表島、波照間島、与那国島)で行われています。
これまで、沖縄黒糖にボツリヌス菌の混入例は聞いたことがなく、また 平成26年度産の沖縄黒糖においてボツリヌス菌の分析を行ったところ問題 はありませんでした。
ボツリヌス菌は土壌中など自然界に広く分布する菌であるため、黒糖製造の過程で収穫した原料さとうきびからの混入が考えられますが、沖縄黒糖はさとうきびを搾汁してpH調整や不純物を濾過した後、搾汁液を濃縮して製造します。
濃縮の過程でかなりの高温(120度以上)での仕上工程があり、その過程でボツリヌス菌などの耐熱細菌も全て死滅するほか毒素は失活致しますので製品が汚染されることはないものと考えております。
しかし、これまでに検出事例は無いものの、1歳未満の乳幼児や何らかの疾患又は腸内フローラが衰弱した人に関しては、主治医等と相談し、摂取しないことが望ましいと考えます。
当会においては、今後もボツリヌス菌について分析機関による分析を行い データを蓄積し、安全・安心な沖縄黒糖を製造してゆく所存であります。

意外にも、しっかりと加熱処理はされているようです。
「黒糖にもボツリヌス菌がいる」説の根拠は一体どこから出てきたのでしょうか。
出典元が明確でないネットの情報を鵜呑みにしてはいけませんね。

また、「黒糖」だけ名前が挙がっている理由も分からなかったので「精糖工業会」にも問い合わせました。

黒糖だけが取り沙汰されていますが、白砂糖などは大丈夫なのでしょうか?
精製過程で120度4分以上の加熱がされているのでしょうか?
1.結論から申しますと、一般的な白砂糖(我々は「精製糖」と呼んでいます)の製造工程における加熱温度は通常、80℃以下です。
2.従い、もしボツリヌス菌の芽胞が製造工程中に混入していた場合、その芽胞を死滅するには不十分な温度となります。
3.一方、我々は、精製糖は、ボツリヌス中毒の原因にならないであろうことを確認しています。その理由は以下のとおりです。

①過去の分析試験で、精製糖中にボツリヌス菌が検出されたことはない。
②一般的な精製糖の製造工程には、3段階のろ過工程(*1)があり、仮に原料(原料糖)中にボツリヌス菌が混在していたとしても、そのろ過工程で除去されることを確認。
③我が国におけるボツリヌス中毒は、過去、100例以上(*2)、報告されているが、その原因として、精製糖が取り上げられたことは無い。

*1:
精製糖の製造工程は概略、次のとおりです。(やや専門的ですが…)
原料糖 ⇒ 洗糖 ⇒ 炭酸飽充による凝集沈殿 ⇒ ろ過 ⇒ 活性炭・骨炭による脱色 ⇒ ろ過 ⇒ 樹脂による脱色 ⇒ ろ過 ⇒ 濃縮・晶析・分離・乾燥・冷却 ⇒ 包装・検査・出荷
これらの精製工程により、原料に含まれる微生物を含む不純物は、ほぼ完全に除去され、無色透明な糖液から白い精製糖が製造されます。

*2:
ボツリヌス菌やボツリヌス症の原因・予防・過去事例等に関することは、食品安全委員会の資料に概説されていますので、添付資料をご参照ください。
(添付資料は食品安全委員会のHPに掲載されているファクトシート ボツリヌス症でした)

なんと、白砂糖の方が加熱温度は低いことが判明。
加熱温度は低いものの、上記の説明であれば特に心配することはなさそうですね。

野菜スープや井戸水が、ボツリヌス症の原因と推定された理由

野菜スープや井戸水の事例については、あくまで原因と「推定」されただけであって、可能性に過ぎません。
ただ、ボツリヌス菌は自然界の土や水に存在するため、野菜の表面についた土や井戸水の中に含まれていてもおかしくありません。

たまたまその野菜に、120度の加熱でしか死滅しない方のボツリヌス菌が含まれていた場合、
家庭調理の加熱温度では不十分でボツリヌス菌が生き残ってしまい、菌が生きたまま赤ちゃんの体内に入る可能性は十分にあり得ます。
また、井戸水も同様に、家庭調理の加熱では死滅せずに、ボツリヌス菌が混入されてしまう可能性もあり得るということです。
※水道水は、塩素消毒によって細菌の芽胞を退治しているようです。

(出典:トピック第20回 塩素消毒の効果 | 水源・水質 | 東京都水道局

危ないと言われている他の食品について

食品安全委員会の資料の中では、乳児ボツリヌス症の予防のために避ける食品の一つに「コーンシロップ」や「野菜ジュース」も挙げられていました。
コーンシロップについては関係企業に問い合わせを試みましたが、残念ながら回答を得られませんでした。
野菜ジュースの製造工程はメーカーによって多岐にわたるため、一概に言えませんが、野菜スープ同様の根拠と推察されます。
ネット上では【自家製】野菜ジュースが注意喚起されている例がありますが、市販のものであれば大丈夫という根拠は得られていません。

予防の方法は?

Woman prepares a healthy meal in modern kitchen. Conception of healthy nutrition.

さまざまな食材に含まれる可能性があることがわかったボツリヌス菌。
正直、自然界の土や水の中に存在すると言われてしまうと、全ての食品を疑わなければいけなくなってしまいます。
「できる範囲で気をつけるしかない」というのが結論ですが、今回の調査結果から、以下の3点は特に注意したほうがよさそうです。

  • ハチミツ・コーンシロップ・野菜ジュースは1歳になるまで与えない。(食品安全委員会の注意喚起を根拠として)
  • 野菜スープを作る際にはしっかりと洗浄・加熱する。
  • 井戸水や川の水など、殺菌されていない水を1歳未満の赤ちゃんに与えない。

また、黒糖へのボツリヌス菌混入の因果関係は明確でないが、気になる方は避けたほうが無難、というのが結論です。

天然素材の「食品用の洗剤」を使って野菜や果物を洗うのは、予防策の1つとして有効でしょう。

あとがき

育児をしていると、さまざまな情報が口コミやネットで入ってくるもの。
信憑性のあるものから根拠のないものまで、何を信用すべきか分からなくなりますよね。
私自身、日々そんな情報に右往左往してしまっているので、今回はできる限り正しい情報を調べてお伝えしたいと思って書きました。
今回のような悲しいニュースがまた起きないように、子育てを頑張っているママたちに正しい知識が広まることを祈っています。

また、お忙しい中、問い合わせにご回答頂きました沖縄県黒砂糖工業会様・精糖工業会様に心より感謝申し上げます。

【執筆協力】
・沖縄県黒砂糖工業会
 沖縄県那覇市古波蔵1丁目24番地27号 沖縄畜産振興センター1F
 http://www.okinawa-kurozatou.or.jp/

・精糖工業会
 〒102-0075 東京都千代田区三番町5番地7
 http://seitokogyokai.com/

まゆり

茨城在住。だいち(1歳3ヶ月)と夫の3人暮らし。 育児に、仕事に、日々アップアップしながら奮闘中。 世のワーママの皆さん!一緒に頑張りましょう!