タリスカー(Talisker) – 失恋した心を癒すウイスキー

「バーテンダーになるには、ウイスキーを知るべきだ。」

こんなアドバイスを先輩に頂いた。
その日、さっそくウイスキーの専門書を購入した。
100本以上のボトルの説明がある中で、興味深い言葉が目にとまる。

「失恋した心を癒す、ウイスキー。」

・・・本当だろうか?そのウイスキーの名は、タリスカーという。

それ以来、男に振られる度にタリスカーを飲んだ。
傷つくたびに、タリスカーをひたすら飲んだ。
たくさん飲んで、そのうち忘れた。
忘れられたのは、タリスカーのおかげもあったと思う。

私はこの効果を失恋以外にも求めるようになった。
傷つくことがあると必ずその日はタリスカーを飲んでみるのだ。

タリスカーは、スカイ島というスコットランドの西の方の島で造られる。
スカイ島は地図で見ると鳥が翼を広げた形をしている。
名前の由来も見た目通り、「翼の形をした島」である。

それだけ聞いても、飛躍できそうな気になってくる。
なるほど、心を癒す効果がありそうだ。

スカイ島の別名は、ミストアイランド。
その名の通り、霧の発生しやすい島だ。
「霧」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。
霧・・・先が見えない。
しかし、みな同じ条件である。先のことが分かる人は、誰もいないのだ。
逆に分かってしまうと、つまらない。
ここでも先へ進む勇気が湧いてくる。

タリスカー、このスコッチは胡椒のような風味を特徴とする。
骨太で男らしいウイスキーだ。
ピリピリした刺激とヘーゼルナッツの様な甘みのバランスが何ともいえない。


今日も上司に怒られた。そこまで言わなくたっていいじゃないか。
私だって頑張っている。

そして傷ついた私は、タリスカーを飲む。
確かに私を励ましてくれているようだ。
小さいことにクヨクヨするな、また頑張ればいいじゃないかと。

そういえば失恋して飲むときは、タリスカーは、「泣いている暇はない。次へ行こう。俺がいるじゃないか。」と、語りかけてくれる。

もう一杯、おかわりする。更に一杯・・・。
なんて、頼りがいのある酒だろうか。

こうして、男じゃなくて酒におぼれる日々が始まる。
でも、タリスカーがいるから大丈夫。

皆さんも、失恋でも、仕事で失敗したときでも、傷ついてしまったら、タリスカーを飲んでみるといい。
男らしいタリスカーに背中を押してもらえるはずだ。

俺がついている。ガンガン進め。

バーテンダー。錦糸町の老舗バー「オールドスコット」に勤務して18年。 2007年の第1回ウイスキープロフェッショナル試験に合格。今一番好きなウイスキーは「アードベッグTEN」。