ワイルドターキーに、ケンタッキーの大自然を想う

友人が亡くなって、ちょうど1年が経つ。
45歳という若さだった。良くのみ良く食べる女性だった。
そして、ボーリングがとても上手かった。
私のスコアが100点以上伸びたのは、彼女の指導の賜物だ。

「ワイルドターキー8年」

このバーボンを飲むと、彼女とのボーリングの思い出が蘇る。
「験担ぎでターキーを出せるように」と、ワイルドターキーを飲みながらボーリングに励んだ。

ラベルにはリアルなターキー(七面鳥)のイラストが描かれている。
酔っ払って二人で「七面鳥を見に、動物園へ行こう」と話したこともある。
動物園に七面鳥がいるのかどうか疑問が残るが。

バーボンというアメリカのウイスキーは、トウモロコシが原料である。
色調整の為のカラメルは一切使っていない。法律で決まっている。
この琥珀色のウイスキーはケンタッキーの自然そのものなのだ。

ケンタッキー自然

度数も50.5度もあって、口をつけただけでカッとなる。
一瞬にして気合いを注入してくれる。
気合いも入り、集中力も増し、良い具合に力の入った、あるいは抜けた私は、一投、二投・・・とボールを投げた。
横で私に指導しながら、男性並みのスコアをたたき出す彼女はとても格好良かった。

今日は彼女の命日。
久し振りにワイルドターキーをグラスに注ぐ。まず香りを嗅いだ。
子どもの頃に良く食べた、桃の缶詰の香りがした。
トリュフチョコレートの香りもする。

・・・あれ?こんなに優しい香りだっけ?
そしてゆっくりグラスを口へ運ぶ。甘い!
1年前、ボーリング場で飲んだときより、ずっとずっと甘い。

単に私が日増しにアルコールに慣れただけなのかもしれない。
だけど、ここは私が1年前より角が取れた人間になった証拠としよう。
人の痛みが少しだけ分かるようになった自分に、乾杯だ。

彼女に私が少しだけ成長した姿を見せたい。
1年に1度だけ、格好つけさせて欲しい。


皆さんも、ワイルドターキーを飲みながら、1年前と今の自分を比べてみるのはいかがだろうか。
ケンタッキーの大自然に磨かれたこのウイスキーが、あなたを素直な気持ちにしてくれるだろう。

初めはピリピリと尖った感じがするかもしれない。意外と甘いかもしれない。
そして1年後にはもっともっとまろやかになっている。
ワイルドターキーも、あなたも。

バーテンダー。錦糸町の老舗バー「オールドスコット」に勤務して18年。 2007年の第1回ウイスキープロフェッショナル試験に合格。今一番好きなウイスキーは「アードベッグTEN」。