スプリングバンク(Springbank) – その塩味に蒸留所の栄枯盛衰をしのぶ

 

20年程前だっただろうか、スプリングバンク30年というスコッチウィスキーを飲んだ。
今思うと、20歳そこそこの年齢で体験できたことはとても贅沢な出来事であった。

私はゆっくり味わうこともなく、「甘くて飲みやすい」という感想を漏らしただけであった。
時間を戻せるのなら、あの日に戻ってもう一度スプリングバンク30年を飲みたいと思う。そして、あの日の自分に「愚か者」と叫んでやりたい。

スプリングバンク蒸留所はスコットランドのキャンベルタウンという町にある。
その昔、キャンベルタウンには30か所を超える蒸留所が存在していた。それが今では片手で数えられるほどしか残っていない。
残念ながらウィスキーの世界において、「栄枯盛衰」そんな言葉がよく似合う町となってしまっているのだ。

久しぶりにスプリングバンクを飲んでみる。今日飲んでみたのは10年ものだ。
一口飲んで驚いた。すごく塩気があるのだ。塩キャラメルの味がする。夏場の塩分補給によさそうな感じである。

スコッチウィスキーの専門書には確かに「塩の風味が強い」と書いてある。
全く同じボトルではなかったが、20年前に飲んだ時にはこの塩の風味に気づかなかった。
私はスプリングバンクを飲みながら18年間のバーテンダー人生を振り返る…。

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Tomomi

バーテンダー。錦糸町の老舗バー「オールドスコット」に勤務して18年。 2007年の第1回ウイスキープロフェッショナル試験に合格。今一番好きなウイスキーは「アードベッグTEN」。