地獄温泉(熊本県) – 地獄の中の地獄は阿蘇にあった

今回紹介する温泉は、熊本県阿蘇にある地獄温泉。
日本に地獄と呼ばれる温泉は数あれど、単に「地獄温泉」と言えばここ清風荘を指します。

阿蘇山カルデラ内部、阿蘇五岳の一つである鳥帽子岳に湧く地獄温泉。宿の裏手に硫化水素の立ちこめる源泉の渓谷があり、その光景が“地獄”と呼ばれる所以です。
市街地からは離れた場所に立地しおり、地獄温泉 清風荘の周辺にはもう一軒旅館があるのみなので、バス等の公共交通機関は存在していません。アクセスには南阿蘇鉄道の阿蘇下田城ふれあい温泉駅からタクシー等を用いるほかありません。

地獄温泉は古くから湯治場として栄え、開湯は200年以上前に遡ります。江戸時代には熊本藩指定の湯治場になっており、藩士のみに入浴が許されたという格式高い温泉です。宿には、文化5年に奉行所から定められた温泉利用の「掟」の書が残っています。
明治以降、地獄温泉は一般に開放され、庶民の湯治場として発展し、今でも旅館とは別に、安価で素泊まりできる自炊設備を完備した簡素な湯治客用の部屋があります。

温泉は内湯に加え、複数の露天風呂を備えた造りになっています。
地獄温泉の代名詞になっているのが、足元からブクブクと源泉が湧き出し、加水なしで源泉に入浴できる“すずめの湯”。灰白色のにごり湯で、ぬるめで長く入っていられる浴槽と熱めの浴槽がある混浴の露天風呂です。
また、源泉の異なる男性専用の露天風呂、そしてその男風呂を見下ろすことができるように設置された女性専用露天風呂「仇討の湯」があります。

源泉が湧き出す“すずめの湯”

源泉が湧き出す“すずめの湯”

男性専用露天風呂

男性専用露天風呂

また、清風荘は食事も有名です。細川藩の水車小屋や古民家を移築したという食事処にて、地元野菜や鴨や猪などのジビエを囲炉裏で炙って頂く趣向でした。
囲炉裏席に囲まれた食事処の中央には水路が流れ、そこを料理が流れてくる仕掛けになっています。

囲炉裏を囲む夕食

囲炉裏を囲む夕食

地獄温泉 清風荘はこれまでに訪れた温泉旅館の中でも、特に印象に残っていた素晴らしい宿だったのでした。
しかし、2016年の熊本地震により道路が土砂崩れで通行できなくなったことに加え、その後の豪雨の影響で旅館が土石流に飲まれ、泥で埋まってしまったといいます。
それ以降、2017年3月現在まで営業を再開できていない状態です。

熊本は阿蘇の人里離れた秘湯の一軒宿。阿蘇周辺には黒川温泉をはじめ高級志向の温泉旅館がいくつもありますが、私の中でのベストは間違いなく地獄温泉 清風荘でした。
いつか営業を再開する日が来たら、必ず再訪したいと考えています。

地獄温泉 清風荘

泉質 単純酸性硫黄温泉
温度 41.3℃~47.1℃
pH 2.6 強酸性
源泉 自然湧出 200~500 ℓ/分
主成分 ナトリウム、カルシウム、カリウム
効能 神経痛、筋肉痛、関節痛四十肩・五十肩、腰痛、運動麻痺、関節のこわばり、打ち身(打撲)、くじき(捻挫)、痔、冷え症、疲労回復、病後回復、健康増進、慢性皮膚病、慢性婦人病、月経障害、慢性消化器病、慢性便秘、動脈硬化症、高血圧症、肥満、糖尿病(高血糖)、痛風(高尿酸)
住所 熊本県阿蘇郡長陽村河陽2327
アクセス 南阿蘇鉄道 阿蘇下田城ふれあい温泉駅下車 タクシーで約15分

ひとり旅をこよなく愛する鉄分高めのアラフォー男子。 年に三度の旅行だけが心の支えです。